北西アーネム・ランドCroker島からの初音源が遂にリリース。デビッド・ブラナシで有名なGUNBORRKソングの伴奏スタイルに似たディジュリドゥのサウンドを聞くことができる。 ダーウィン近郊のBelyuenコミュニティのWANGGAソングを収録した名盤「Rak Badjalarr」の録音を手がけたLinda Barwickによる録音と47Pにおよぶ濃厚な解説で、かなり詳しくCroker島のラブソング「Jurtbirrk」を掘り下げている。 ディジュリドゥのサウンドは、中央アーネム・ランドから西アーネム・ランドで広く聞かれるGUNBORRKソングの伴奏の演奏に近く、多少ピッチがスウィングするようなドローン(持続低音)には低音から高音にかけて幅広い倍音が聞かれる。中でも最も特徴的なのが舌の動きで、西アーネム・ランドの広い範囲で聞かれるGUNBORRKソングの伴奏では、柔らかい滑らかな舌の動きで演奏されるが、ここで聞かれるJurtbirrkソングの伴奏では北東アーネム・ランドのヨォルングの演奏で聞かれるような力強い舌の動きで演奏されているようだ。 2003年7月〜2004年の11月という長期に渡って複数の機会に渡って録音されたこのCDでは、Archie Brown、Reggie Cooper、Jimmy Cooper、Sam Namaruka、Ronnie Waraludjという30代後半から70代前半という幅広い年齢層のディジュリドゥ奏者の演奏が聞くことができるのも魅力の一つだ。 Iwaidja語でラブソングを意味する「Jurtbirrk」ソングは、どの曲もある程度の差はあるとはいえほぼ同じようなテンポと曲調で演奏されているため、全トラック通して聞いた時に少し単調に感じるかもしれない。しかし、演奏者と使用している「Ardawirr(Iwaidja語でディジュリドゥを意味する言葉)」の違いによって、このエリアのディジュリドゥの演奏スタイルの全体像をぼんやりと推し量る事ができる。 ブルースにも似たしゃがれた渋い声で歌われる北西アーネム・ランドCroker島のラブソング「Jurtbirrk」を堪能できる一枚です。